ゲームをつくるひと

~who make games?~

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個人開発で「ゲームをつくるひと」 yuta編

 

こんにちは

ゲームをつくるひと企画者の瀬見川エミシ(@SemiRiver)と申します。

 

今回は、前回のドット絵対談でもお招きしたゲームクリエイターyutaさんに

「ゲームをつくるひと」になったきっかけ。

ゲームをつくることを仕事にするという意味。

ゲームサウンドへの思い、サウンドトラックを作ることになったきっかけ

そして「未来のゲームをつくるひと」へのメッセージなど

を語っていただきました。

 


《ゲストプロフィール》

yuta(@yyuta342)さん 

 奇妙で不可思議なアドベンチャーゲームStrangeTelephone」の開発者。

グラフィック、プログラム、サウンドなどほぼ全てを個人で開発しています。

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 電話番号を入力すると生成される、不思議な世界を探検していきます。

この番号から生まれる世界ですが、番号さえ同じなら同じ世界が生まれます。

 なので、面白い世界を見つけたらSNSなどで共有したり、みんなで攻略してみるのも面白い新機軸のゲームです!

 

 


 ここからインタビューの内容になります。 


 

 《ゲームつくりについて》

──ゲーム作りを始めたきっかけはなんでしたか?

yutaさん:

 中学生の時にSTG-CIRCLEというシューティングゲームを作って公開できるDoCoMoiアプリを始め、様々な個性あふれるiアプリのゲームに触れることで「自分も同じように好きなゲームを作りたい。」と思ったのがゲーム制作を始めたきっかけでした。

 普通科の学校に通いつつiアプリのゲーム開発を細々と続けて、当時SNSや掲示板で出会った方々と交流を深め技術を学びました。

 その後も色々ありましたが、20歳くらいの時に初めて知った洞窟物語、ゆめにっきなどのフリーゲームを通して「1人でもこれだけ凄いゲームを作れるんだ…」と衝撃を受け、個人ゲーム開発者として生きていきたいと本格的に思うようになりました。

 その後フリーター生活をしながらStrangeTelephoneを開発し、ゲームを完成させる為にアルバイトを辞めて今現在という感じです。

──遊ぶ側から作る側になったことでの変化はありましたか?

yutaさん:

 今でも変わらず沢山ゲームで遊びますが「ここの実装、グラフィック表現はどうやってるんだろう」などと、技術的な事を頭に思い浮かべながらプレイするようになりました(笑)

(何だかんだ10年以上一人で開発をしているので、遊ぶ側から作る側へ変わったという意識は全く無いです。)

──個人開発者として、「ゲームをつくるひと」として生きていこうと決めた時はどんな気持ちだったのでしょうか?

yutaさん:

 ネガティブな考えからお話すると"誰かの下で働く"ことが個人的にすごく苦手で、働いていた頃とても辛かったということ。

 元々は"職人"という働き方に憧れがあったので「ゲーム職人」がいてもおかしくないと思い、とことん拘り抜いた自分がプレイしたいこの世にないゲームを売って生きられたら自分自身の心は満たされるだろうなと思い始めました。

 "ゲームをつくるひと"になるために行ってきたことは、もちろんゲームを作り続けて技術を磨くことも重要ですが、ゲームを作ることだけをせず様々な物をインプットすることです。

 旅したり、映画・アニメを見たり、漫画を読んだり、楽器を弾いたり、他の人の作品に興味をもつことで自分自身の制作に大きく影響を与えてくれます。

 

 これから目指す人は"何を作りたいか"を明確にした方がいいかもしれません。

"何を作っていいか分からないけどなんとなく楽しそうで、格好いいからゲームを作りたい。"だと間違いなく途中で挫折します。

 

 僕はとにかく作りたいものが多くて困ってます、常にアイディアは湧き出ている状態です。

あとは作ることを"とことん楽しむ"ことが一番重要なのかもしれません。

──先日質問箱にて回答されていた「学生時代はそういう教育により色々迷っていたかもしれませんが、自己を確立した今は何も迷ってません、沢山失敗しつつも人生楽しいです。」というのをもう少し掘り下げてお聞きしたいです。

yutaさん:

 悪い言い方をすれば学生時代の自分は、正に教育によって脳が支配されてたんだとつくづく思います。

苦しみながら就活をして、"普通の会社"に勤めなければいけない、苦しい未来が待っている。それをすることが絶対悪とは思いませんが、視野を広げてみれば選択肢が沢山がありました。

そして、少し先の未来が見えない中で手探りで生きる道を模索している…そんな今が僕にとっては人生で一番楽しいのです。

 

どの会社に勤めようが絶対安心なんて未来は無いのならば、とにかく好きなように生きてやるぞという精神です。

 

実はゲーム開発を本格的に始めて考えが変わった点も1つあり"応援してくれる方々"の為に頑張ろうと思えるところです。

初めは自分の為という考えのもと開発をしていましたが、今では心にある程度余裕もでき他者の為の創作も素敵だなという考えも生まれました。

 


 《ゲームサウンドについて》

──ゲームサウンドにはどんなチカラがあると思いますか?

yutaさん:

 僕にとってゲームとゲームサウンドは一対で、絶対に切っても切り離せないものです。

ゲームサウンドは感情と同期するもので、記憶に強く焼き付きます。

例えば「ゼルダの伝説 時のオカリナ」ですが、あのゲームは今でもプレイするくらい好きです。

 それは革新的な操作と王道ストーリーもありますが、なにより記憶に焼き付くサウンドによって多くの人に評価されているんだなと思います。

──StrangeTelephoneのサウンドもご自身で作られていますが、そうしたきっかけをお聞きしたいです。

yutaさん:

 僕は作曲に関しては特に素人で作曲の知識は浅いです。ただ、大きく影響を受けた「ゆめにっき」「LSDも音楽が評価されているところを見ると、やはり"自分で作ってみたい"という気持ちが強く、今回のStrangeTelephoneでも挑戦してみました。

 楽器は軽くギターが弾けるくらいのレベルなので、ドラムパターンに合わせてMidiキーボードを指1本で弾きながら心に残るメロディラインを探りつつ、時には鼻歌を歌ってみたり…(笑) 

──サウンドトラックが配信予定とのことですが、配信を決めたきっかけはなんだったのでしょうか?

yutaさん:

 まさか僕もサウンドトラックを作ろうなんて考えが初めからあったわけではなく、プレイしてくれた方々から"サウンドも好き!""曲良かったです!"などという嬉しい報告を沢山いただいたからこそ制作しようという考えに至りました。

 


 《"未来の"ゲームをつくるひとへ》

──"ゲームをつくるひと"として、「"未来の"ゲームをつくるひと」やその他クリエイターを目指す人に向けてのアドバイスやエールをお願いします。

yutaさん:

 正直僕自身も本当にまだまだレベルが低いです、世の中にはもっともっと凄い作品を作る人達が山ほどいます。

 ただ1つ言えることは、とにかくここは"作品を通して人と人が繋がる世界"なので、まだ作り始めていない人はたった今この時からでも作り始めて欲しいです。

 インプットもアウトプットも止めてしまったら成長もそこで止まりますし、手や頭を動かし続けて他者の技術や表現をリスペクトしつつ上手く取り入れることが重要かと思います。

 

 稚拙な文章だったかもしれませんが、多くの人に気持ちが伝われば嬉しいです。

──ありがとうございました!

 


  

 yutaさん、なかなか言いにくいであろう過去のお話などを含め、貴重なお話ありがとうございました。

 私自身も就職活動の中で「やりたいこと」「好きなこと」「つくりたいもの」を見失い掛けたことがありました。その時に、yutaさんのような「好きを貫いてつくるひと」の作品に、私は救われました。

 そんな時に思いついた、辿り着いたのがこの企画です。

この記事が、yutaさんの思いが、「"未来の"ゲームをつくるひと」の道しるべの一つとなることを祈っています。

 

 そして──もっとyutaさんを知りたい!自分も質問してみたい!表現をリスペクトしたい!と思った皆さんは

Twitterのタグ 

#StrangeTelephone - Twitter Search

 で検索してみましょう。 幸せになれますし強くなれます!自分で調べて吸収する。それが「つくるひと」への一歩です。

 


補足:今回記事内に出たゲームの紹介

ゆめにっき 

 とても暗い雰囲気の、夢の中(という設定)の世界を歩き回るゲームです。

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 作者サイト:KIKIYAMAHP 

ツクールMV版ゆめにっき配信サイト:ゆめにっき | AndApp

 

LSD

 開発者の見た"夢"を基にデザインされた(と言われている)ゲーム。

 海外名はLSD: Dream Emulator』であり、より"夢"をテーマとしていることがわかりやすい。 

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 PlayStation.Storeページ:LSD 

同作のアーティスト / デザイナー / 音楽家のインタビュー記事:インタビュー:佐藤理